受講生からよくある質問と回答(2級工業簿記編)

 

海生ゼミでは、受講生は何度でも無料で質問をすることができ、遅くても24時間以内に講師である会計士から回答を行っています。

よくある質問と回答例です。なお、テキストと書いてある問題は講義で使っているものです。ご了承ください。また、質問の文章並びに回答の文章も若干、修正をしています。(実際の回答には、図解を添付しているケースがありますが、ここでは省略しています)

 

(1) 労務費について
(2) 製造間接費の配賦について
(3) 個別原価計算の仕損について
(4) 総合原価計算について
(5) 直接原価計算について

 

 

 

 

 

 

 

(1)労務費について

Q:労務費についてです。未払い賃金の勘定がある場合と、ない場合の違いがよくわかりません。未払い賃金勘定がない場合の、賃金勘定の動きがよく理解できてないのだと思います。


A:結論から言いますと、未払賃金勘定があるケースを理解できればそれで十分です。

未払賃金勘定がある場合は、賃金勘定と未払賃金勘定の2つが登場してきます。

前月末の未払い分が、当月の初めに再振替仕訳によって、未払賃金勘定から賃金勘定に振り替えられます。(借方)未払賃金 ××× (貸方)賃金 ×××

未払賃金勘定は、「負債」を表します。つまり貸借対照表の項目で、次月に繰り越されます。

前月から繰り越された未払賃金を賃金勘定に再振替をして、賃金勘定で当月の労務費を計算します。

つまり、賃金勘定は、右上に、前月から繰り越された未払賃金が、左側に当月の支給総額が、左下に当月末の未払賃金を書き、結果的に当月の労務費を計算しています。

未払賃金勘定がないケースは、上記の最振替仕訳を月初にしなくてもいいという、簡便的な処理方法です。つまり、賃金という勘定で、次月に未払賃金の金額を繰り越そうとしているものです。

賃金勘定は労務費という費用を表すのに、いきなり、月末になると負債を表すという、一見、理解に苦しむ処理方法ですが、賃金という勘定1つで処理しようとした結果と割り切ってください。

 すなわち、未払賃金勘定を使用しない場合は、次のように考えてください。

まず、月初ですが、賃金勘定は「負債」を表しています。つまり、未払賃金を表しています。ですから、賃金勘定の右上に前月繰越分がはじめから計上されています。

(これに対して、未払賃金勘定を使用する場合は、最振替仕訳によって、賃金勘定の右上に未払賃金分が振り替えられてきます)

そして賃金勘定の左側に当月の支給総額が、左下に当月末の未払賃金分を次月繰越として書き、結果的に当月の労務費を計算しています。

なかなか難しいとは思いますが、賃金勘定の金額は、いずれにしても、同じ位置に同じ金額が来ることを確認して置いてください。



(2)製造間接費の配賦について

Q:製造間接費の実際配賦についての質問です。テキストの38Pの問題5についてのことですが、機械個別費とあると、仕掛品だと思ってしまい、何の問題なのかさっぱりわからなくなってしまいます。あと、表にある運転時間と、その下の(2)製品A及び製品Bへの製造間接費配賦額各製品の機械通過時間の意味の違いがよくわかりません。

この問いと同じような問題を解いてみたのですが、やはりそれがわからなくて、途中で終わってしまいました。製造間接費の配賦は、やはり難しいです。

 

A:まずは、勘定の流れをイメージしてみてください。製造間接費という勘定があり、そこから、仕掛品という勘定に金額を振り替える・・・これが製造間接費の配賦です。

 実際の工場を想定してみますと、工場内に機械1と機械2の二種類の機械があり、その機械を使って製品Aと製品Bを製造しています。

解答を見ますと、機械1では1ヶ月間で6150000円、機械2では7250000円の費用がかかっています。

製品Аと製品Bはこれらの機械を使用して製造していますので、この機械に関する費用は製品AとBの製造原価、つまり製造間接費(共通費)になります。

 そこで機械1にかかった費用6150000円をABに分ける必要があります。これが配賦です。

その配賦を機械通過時間で行おうというのがこの問題です。

通過時間とは次の意味です。

製品Aは、機械1200時間、機械2250時間使用して製造しました。 これに対して製品Bは、機械1300時間、機械2150時間使用して製造しました。

別の見方をすれば、機械1は月間500時間稼動したが、それは、Aのために200時間、Bのために300時間稼動したということになります。

ですから、機械1にかかった費用は6150000円なので、この費用をABに分ける必要があります。

これが配賦です。

ですから、6150000÷500時間×200時間でAを製造するために係った費用を算出することができます。この金額が配賦額です。

 後は、この配賦が勘定の流れの中で、製造間接費から仕掛品への振替という位置にあることを確認してください。


Q:製造間接費の予定配賦についてですが、なぜ、予定配賦するときに予定配賦率に実際の作業時間を掛けるのか?しっくりこないので教えてください。自分なりのイメージとしては、実際の作業時間がわかれば実際の金額もすぐ出てくるのではないかな?というイメージがあるのですが、・・

タイミングとしては、予定配賦の意味があるのかな〜とか疑問がわいてきました。

頭の中が混乱してきました。よろしくお願いします。

 

A:通常、金額は単価×数量で計算されます。

たとえば、材料費も、単価×実際消費量で、労務費は、時給×実際作業時間で計算されます。

材料費を計算する場合、1ヶ月間の実際の消費量葉すぐに算定できるはずです。しかし、購入単価の計算は、日々、購入単価が異なっていますと、なかなか算定できません。そのために、予定単価を決めておいて、概算ですが、材料費を計算することがあります。

労務費も同様です。実際の作業時間は、すぐに把握できますが、実際の時給の計算は、時間外労働等いろんな原因により、簡単にはいきません。ですから、予定の時給を決めておいて、概算ですが、労務費を計算することがあります。

製造間接費の金額も、単価×数量で計算されます。

この単価のことを配賦率といいます。

そして、配賦率も実際配賦率と予定配賦率がありますが、理由は、材料費・労務費と同様です。

数量には、作業時間等いろいろありますが、実際の作業時間はすぐに把握できますが、実際の配賦率の計算は、実務でも大変時間がかかります。

ですから、予定の配賦率を決めておき、配賦額を計算し、後で、実際の配賦率を算定し、差異を求めることになります。



(3)個別原価計算の仕損について

Q:仕損費についての質問です。全部仕損になったときには、旧製造指図書から仕損品評価額を引くという考え方は、理解できますが、補修不可能で一部仕損になったときに、なぜ、新製造指図書に集計された原価から、仕損品評価額を減らすの?ということが疑問です。別に旧製造指図書に集計された原価から、仕損品評価額を差し引いても良いのではないかと思いますが、どうしてでしょうか?仕損になった分だけ原価を集計しているので、それが仕損費になるというのはわかります。

 

A:1が補修不可能で一部仕損となった場合を考えます。1に係った原価が1000としましょう。

1の補修のための指図書が1-1とします。そうしますと、1-1には、1の原価1000と、1-1に係った原価が加算されます。

1の原価はすべて、1-1に集計されますから、仮に1に価値が発生すれば、その金額は、1-1の原価から控除するしか手立てがなくなります。旧指図書1はすべて、1-1に集計されますから、新指図書1-1から評価額を差し引くことになります。

ただし、1から評価額を引いて1-1に加算しても結果は同じになりますが、簿記の問題においては、新指図書から引くことが一般的です。



(4)総合原価計算について

Q:第2工程生産データの前工程費(板書では材料費となっていますが)の投入額に第1工程完成品の額10,210が来ますが、その前後の月初仕掛品と月末仕掛品の意味が分かりません。

第1工程の場合はその段階で材料が投入されますから、<未完成品がある=(月末・月初に)仕掛品が発生する>というのは分かるのです。しかし、第2工程の場合は第1工程の完成品が投入され材料は投入されませんから、前工程費(材料費)の生産データにおいては月初・月末仕掛品は発生しないような気がするのです。(加工データの仕掛品はイメージ的に分かるのですが・・・)
第2工程の流れ・内容が分かっていないのだと思います。第2工程の月初・月末仕掛品をどのように考えればいいでしょうか?

 

A:まず、第2工程は、第1工程の完成品が第2工程の作業場に運ばれます。第2工程から見れば第1工程完成品は材料と同じことです。基本的に、投入時点は、工程のはじめとなります。たとえば、今日が427日とします。この時点で、第1工程からの完成品を第2工程に運ばれ、加工を開始したとします。そして第2工程の加工が完成するまで、5日かかるとします。4月の営業日は272830日の3日間だとしますと、430日の段階で、第1工程完成品は、第2工程の加工途中で4月の月末を迎えることになります。この状態が、第1工程完成品にかかる第2工程の月末仕掛品となります。この場合、第2工程の月末仕掛品の金額は、第1工程完成品(材料費+加工費)と第2工程の272830日の加工費の合計となります。このように第1工程の完成品原価(前工程費)は、第2工程から見れば材料費と同じと考えれば理解できるのではないかと思います。



(5)直接原価計算について

Q:全部原価計算と直接原価計算の2期比較の問題がよくわかりません。特に全部原価計算の原価差異が発生するところがわかりません。もともと直接原価計算が苦手です。

 

A:全部原価計算と直接原価計算をあまり意識しますと分かりにくくなるかもしれません。 まず、工業簿記は、材料、賃金、製造間接費、仕掛品、製品、売上原価という勘定の流れが大切と講義でも何度もお話しました。この勘定の流れ、特に、仕掛品勘定からの流れについて、すべての原価を計算するものが全部原価計算で、変動費のみを流すものが直接原価計算です。まず、この点を割り切ってください。

全部原価計算で原価差異が発生しますが、これは固定費に関係があります。固定費を予定配賦しますと、実際の固定費の金額との間に差額がどうしても発生します。

変動費は原価差異は発生しません(標準原価計算では発生しますが)。製造間接費の予定配賦のところで、製造間接費勘定から仕掛品に振り替える金額と実際製造間接費の金額に差が発生したと思います。

直接原価計算では、固定費は仕掛品勘定には入りません、つまり配賦はないため、このような配賦差異(原価差異)は発生しません。

2期の問題も1期目と2期目の勘定の流れを書くことが一番です。

1期末の仕掛品の金額は、2期の期首の仕掛品になりますので、その点を注意して書いてみてください。

 

 

 

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